令和2年度版の犯罪白書第7編-薬物犯罪-の中に、「関係機関の支援を受けたことがない理由」のアンケート結果が記載されています。
ここでいう「関係機関」とは、それぞれ専門病院、保健機関、回復支援施設、自助グループの4つが選択されており、それぞれに対して支援を受けない理由が記されています。

しおりと近い回復支援施設を見てみますと、一番の理由が「支援を受けなくても自分の力で(薬物を)やめられると思った」となっていました。

この部分を見て、施設側の想いと相違があるんじゃないかなぁ、、と思ったわけです。
というのも、一般の人から見れば、施設の役割は「やめさせること」だと考えるのでしょうけれど、施設の本来の目的は「やめさせる」ことではないはずだからです。
(もちろん、すべての回復支援施設の代表ではないので、あくまで私見ですが。)

私が考えるに、施設の目的は、援助を通して、ご本人がくすりを使わずとも何とか生きていけるようになることです。
もちろん、その目的を達するプロセスにおいてくすりをやめることとなるので、結果的にみれば「くすりをやめる」ことにつながるのでしょう。
でもそれはあくまでプロセス、過程であって最終目的ではありません。

もともとくすりを使わないでもいい人なのであれば、くすりとは無縁で生きられているわけです。
だけどくすりなしで生きるのは辛すぎるから利用した。

はて、くすりを(刑務所等で)強制的に取り上げられたこの人は、じゃあこれからもずっとくすりなしで生きられるのか?

生き方に変わりがなければ、残念ながら元に戻るだけです。
そうならないように施設で新しい考え方、生き方、ありようを手に入れる。
それはくすりなしでいい、くすりを必要としない生き方・ありようです。

そしてそれを手に入れるために回復支援施設を活用して頂けたら、と思うのです。
決して「やめるため」だけではなく。
「支援を受けなくても自分の力でやめられると思う」人にも、やめられないと思う人にも施設の門戸は広く開かれているはずです。
ご自分の人生の先(やめること)とそのもっと先(生き方)をセットで考えて頂けるといいのになぁ、、と思っています。