9月も7日を過ぎようとするところですが、まだまだ暑い日が続きそうです。
体調を崩されている方も珍しくないようで、どうぞ皆さん、お身体には気を付けてくださいね。


さて「精神看護」9月号のテーマは、ゲーム依存・ネット依存についてでした。

その中で山梨県立北病院の新津勇氏の記事中に、ゲーム依存やネット依存は、「いわゆる『きずな依存』『つながり依存』とも呼ばれる関係性の障害と言えます」(p416)とありました。

アルコールを含めた薬物依存については古くから問題視されていますが、ゲーム依存・ネット依存(以下、ネット依存)は、スマートフォンの浸透と共に、昨今、急激にその問題に頭を抱える人々が増加しさまざまな場面で取り上げられることも多くなりました。
興味深い点は、薬物依存症と同様、ネット依存もまた関係性の病と言われていることです。

薬物依存症に照らして考えてみると、よく「薬のおかげで何とか生き延びることができた」と当事者が言うことがあります。
ネットもまたしかりで、自分の環境や状況をいっときでも忘れるため、抱えきれない生きづらさから逃れるため、つまり生き延びるためにネットに没頭するということなのでしょう。

そしてまた薬物依存症と同じように、残念ながら「これを飲めば治る」という薬は存在しません。
少しずつ時間をかけて他者と交流をもち、人間関係の練習をしながら人とのつながりを創っていくしかないのですね。
ですのでスマホを無理やり取り上げても治りません。
それなしでは生きていけないという頼りの綱を、急に取り上げられたらどうなるかは自明です。
急がば回れというように、少しずつ少しずつ、それなしでも二本足で歩けるように長期的に関わっていくしかないのです。

本来、ひとは何かに異常に依存し、それなしでは生活がままならなくなる生き物ではありません。
他者やいろいろなもの・ことに上手に「依存」し、それらの力や助けを借りることで自分の人生を生きていく生物です。
しかし本当に悲しいことながら、それがままならなくなってしまう状況があることも事実ですね。


これまでたくさんの回復者、サバイバーにお会いしてきました。
依存症は完治しないと言われていますが、問題なく日々を暮らす回復は可能です。
たくさんの方々が回復を遂げ、仕事に就いたり勉強を始めたり、新しい健康的な人間関係を築いています。
それは短く楽な道のりではないでしょう。
何年かかるかも分かりません。
一人っきりではどうしてもくじけてしまいがちなので、ぜひ仲間やサポーターを見つけてください。
粘り強く続けていれば光は見えてきます。